均衡の原則とは|土地利用のバランス
均衡の原則とは(結論を一言で)
均衡の原則とは、不動産の収益性や快適性は、その不動産を構成する各要素(土地と建物、設備と構造など)の組合せが均衡を保っているときに最大になるという原則です。不動産鑑定士試験では、最有効使用の判定に関わる重要な概念として出題されます。
不動産の収益性又は快適性は、その不動産を構成する各要素の均衡がとれている場合に最高度に発揮されるものである。したがって、不動産の最有効使用を判定するに当たっては、この均衡を保つことが必要である。
― 不動産鑑定評価基準 総論第4章
わかりやすく言うと
「家を建てるなら、土地の広さに合った建物を建てるのが一番効率的」ということです。30坪の住宅地に10階建てのビルを建てても効率が悪いですし、逆に100坪の商業地に平屋の住宅を建てても、その土地のポテンシャルを活かしきれません。
不動産の各要素がバランスよく組み合わさったときに、その不動産の価値は最大化されるのです。
身近な具体例
例1: 高級住宅街の建物
高級住宅街の100坪の敷地に、ワンルーム仕様の安価なアパートを建てたらどうでしょうか。土地の価値に見合わない建物であり、収益性は最大化されません。逆に、この立地にふさわしい上質なファミリー向け戸建てを建てれば、土地と建物のバランスがとれ、不動産全体の価値が最大化されます。これが均衡の原則の考え方です。
例2: オフィスビルの設備投資
築30年のオフィスビルに最新の空調システムだけを導入しても、配管や断熱材が古いままでは効果が十分に発揮されません。一部の要素だけを過剰にグレードアップしても、他の要素とのバランスが崩れれば全体の価値は上がらないのです。原価法で評価する際の機能的減価の判断にも関わる考え方です。
鑑定評価における位置づけ
均衡の原則は、以下の場面で重要な役割を果たします。
- 最有効使用の判定: 土地と建物の組合せが均衡しているかを検討する
- 原価法における減価修正: 均衡が崩れている場合に機能的減価として認識する
- 建物と敷地の適正な組合せ: 建物の規模・用途が敷地にふさわしいかの判断基準
- 寄与の原則との関連: 各要素がどの程度全体の価値に寄与しているかの分析
関連する用語との違い
| 用語 | 意味 | 違いのポイント |
|---|---|---|
| 均衡の原則 | 構成要素の組合せのバランスが最大の価値を生む | 不動産の「内部的バランス」に着目 |
| 適合の原則 | 不動産が地域環境と調和しているとき価値が高まる | 不動産と「外部環境」との関係に着目 |
| 寄与の原則 | 各要素が全体の価値にどう寄与するか | 各要素の「貢献度」に着目 |
試験での出題ポイント
短答式試験
- 均衡の原則と適合の原則の違い: 均衡=不動産内部のバランス、適合=地域環境との調和。この使い分けが問われる
- 均衡の原則と最有効使用: 最有効使用の判定においてこの原則がどう適用されるかが出題される
論文式試験
- 「均衡の原則と寄与の原則の関係を、最有効使用の判定と関連づけて論述せよ」という形式がありうる
- 収益逓増及び逓減の法則との関係で、投入量の最適点を論じることも求められる
まとめ
均衡の原則は、「不動産を構成する要素のバランスが取れているとき、価値は最大化される」という原則であり、最有効使用の判定において欠かせない視点です。適合の原則が「外部環境との調和」を説くのに対し、均衡の原則は「内部要素のバランス」に着目する点を区別して理解しておきましょう。諸原則全体の体系と併せて確認することをおすすめします。