復帰価格とは|DCF法における出口価格
復帰価格とは
復帰価格とは、DCF法において、保有期間の終了時に対象不動産を売却すると想定した場合の予想売却価格のことです。不動産鑑定士試験では、DCF法の構成要素として各期の純収益と並ぶ重要な概念です。
DCF法は、連続する複数の期間に発生する純収益及び復帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計する方法である。
― 不動産鑑定評価基準 総論第7章第1節
わかりやすく言うと
投資用マンションを10年間持ち続けたとします。毎年の家賃収入(純収益)だけでなく、10年後にそのマンションを売ったときの売却価格も投資のリターンに含まれます。この「最後の売却価格」が復帰価格です。
DCF法では、毎年の純収益の現在価値 + 復帰価格の現在価値の合計が不動産の価値となります。
身近な具体例
例1: 賃貸マンション投資の全体像
ある投資家が5,000万円で賃貸マンションを購入し、10年間保有するケースを考えます。
毎年の純収益: 300万円 × 10年間
復帰価格(10年後の売却価格): 4,500万円
DCF法による価値:
= 各期の純収益の現在価値の合計 + 復帰価格の現在価値
この例では、投資のリターンは「毎年の家賃収入」と「最終的な売却収入」の2つで構成されています。復帰価格は投資回収の「出口」に当たる重要な要素です。
例2: 復帰価格の計算
保有期間10年、11年目の予想純収益400万円、最終還元利回り5%、割引率4%の場合を考えます。
復帰価格 = 11年目の純収益 ÷ 最終還元利回り
= 400万円 ÷ 5%
= 8,000万円
復帰価格の現在価値 = 8,000万円 ÷ (1 + 4%)^10
= 8,000万円 ÷ 1.4802
= 約5,405万円
このように、復帰価格は最終還元利回りで求め、さらに割引率で現在価値に割り引くという二段階の計算が必要です。
鑑定評価における位置づけ
復帰価格は、DCF法の2つの構成要素のうちの一つです。
- 各期の純収益: 保有期間中に毎年発生する収益
- 復帰価格: 保有期間終了時の売却価格
- DCF法の収益価格: 上記2つの現在価値の合計
復帰価格はDCF法の結果に大きな影響を与えます。特に保有期間が短い場合(5年程度)は、復帰価格の現在価値が収益価格全体の60〜70%を占めることもあります。
復帰価格の算出時の留意点
| 留意点 | 内容 |
|---|---|
| 最終還元利回りの設定 | 通常の還元利回りより高めに設定する(建物の経年劣化を反映) |
| 売却費用の控除 | 復帰価格から売却に伴う費用(仲介手数料等)を控除する場合がある |
| 純収益の安定性 | 復帰価格の計算に使う純収益は安定的な水準で設定する |
| 建物の残存耐用年数 | 保有期間終了時点での建物の残存耐用年数を考慮する |
関連する用語との違い
| 用語 | 意味 | 違いのポイント |
|---|---|---|
| 復帰価格 | 保有期間終了時の予想売却価格 | DCF法の「出口」の価格 |
| 最終還元利回り | 復帰価格を算出するための利回り | 復帰価格を「求める手段」 |
| 割引率 | 将来のキャッシュフローを現在価値に変換する率 | 復帰価格を「現在に引き戻す手段」 |
| 収益価格 | DCF法で最終的に求める不動産の価格 | 純収益の現在価値 + 復帰価格の現在価値 |
試験での出題ポイント
短答式試験
- 復帰価格の算出方法: 「復帰価格は保有期間の最終年の純収益を最終還元利回りで割って求める」→ 注意(通常は保有期間終了時の翌期の純収益を使う場合が多い)
- 復帰価格の現在価値への割引: 復帰価格を割引率で現在価値に割り引く必要がある点が問われる
論文式試験
- 「DCF法の算定手順を述べ、復帰価格の意義と求め方を論述せよ」
- 復帰価格が収益価格全体に占める割合の大きさと、それゆえに最終還元利回りの設定が重要である点を論述する
まとめ
復帰価格は、DCF法における保有期間終了時の予想売却価格であり、収益価格に大きな影響を与える重要な構成要素です。最終還元利回りで算出し、割引率で現在価値に割り引くという計算プロセスを正確に理解しておきましょう。収益還元法全体の体系と併せて学習することをおすすめします。