予測の原則とは

予測の原則とは、不動産の価格は、その不動産の将来の収益性等についての予測を反映して形成されるという原則です。不動産鑑定士試験では、DCF法価格時点における価格判定の理論的根拠として重要な概念です。

不動産の価格は、その不動産に係る過去の推移及び将来の動向並びに価格形成要因の変動についての市場参加者の予測によって左右される。

― 不動産鑑定評価基準 総論第4章


わかりやすく言うと

「不動産の価格は、現在だけでなく将来の見通しで決まる」ということです。今は田んぼでも、来年大型ショッピングモールが隣にできることがわかっていれば、その土地の価格は今の時点から上昇します。逆に、工場の撤退が決まれば、周辺の地価は下がり始めます。

市場参加者は将来を見越して行動するため、不動産の価格には将来の予測が織り込まれているのです。


身近な具体例

例1: 再開発が予定されている地域

ある駅前地区で大規模な再開発計画が発表されました。新しい商業施設やタワーマンションが建設される予定です。まだ工事は始まっていませんが、発表された時点で周辺の地価は上昇を始めます。これは、市場参加者が再開発後の地域の発展を予測し、その予測を価格に反映させているためです。

例2: 人口減少が進む郊外の住宅地

ある郊外の住宅地で、最寄りの大学が10年後に都心へ移転することが発表されました。学生向けの賃貸需要がなくなることが予測されるため、移転はまだ先なのに、今の時点でアパートの賃料や地価が下がり始めますDCF法で評価する際には、こうした将来の変動予測を各期のキャッシュフローに反映させることになります。


鑑定評価における位置づけ

予測の原則は、鑑定評価の多くの場面に関わります。

  • DCF法: 将来の各期の収益を予測して現在価値に割り引く手法であり、予測の原則そのもの
  • 直接還元法: 安定的と見込まれる純収益の予測が必要
  • 取引事例比較法: 事例の取引時点から価格時点までの市場動向の予測(時点修正)
  • 価格形成要因の分析: 各要因の将来の変動方向を予測する

関連する用語との違い

用語 意味 違いのポイント
予測の原則 将来の予測が現在の価格に反映される 「将来の見通し」が価格を左右する
変動の原則 価格形成要因は常に変動し、価格も変動する 「変化する事実」を示す
需要と供給の原則 価格は需給バランスで決まる 予測の背景にある需給の力を示す

変動の原則が「価格は変動する」という事実を述べるのに対し、予測の原則は「変動するからこそ将来予測が価格に影響する」という因果関係を示しています。両者は表裏一体の関係です。


試験での出題ポイント

短答式試験

  • 予測の原則と変動の原則の関係: セットで問われることが多い。変動→予測の論理的つながりを理解しているかが問われる
  • DCF法との関係: DCF法は予測の原則を直接的に手法化したものであるという理解が求められる

論文式試験

  • 「予測の原則と変動の原則の関係を論述し、鑑定評価における将来予測の意義を述べよ」という出題パターン
  • DCF法の理論的根拠として予測の原則を位置づけ、各期の純収益予測の必要性を論じる

まとめ

予測の原則は、「不動産の価格には将来の見通しが織り込まれている」という原則であり、DCF法をはじめとする鑑定評価手法の理論的基盤です。変動の原則と表裏一体の関係にあり、両者をセットで理解することが試験対策の鍵です。価格形成要因の将来予測や諸原則全体の体系についても併せて学習しましょう。