令和7年(2025年)試験の全体像

不動産鑑定士試験は、国土交通省土地鑑定委員会が実施する国家試験です。令和7年(2025年)試験も例年通り、5月の短答式試験と8月の論文式試験の2段階方式で実施されます。不動産鑑定士を目指す方にとって、試験制度の正確な理解は合格への第一歩です。

本記事では、令和7年試験のスケジュール、出願方法、試験科目、合格発表日程等を整理し、受験計画を立てるために必要な情報をまとめます。なお、本記事の日程は一般的な例年のスケジュールに基づいており、正式な日程は国土交通省の官報公告で必ず確認してください。


試験日程の全体スケジュール

年間スケジュール一覧

令和7年試験の主要な日程は、例年のパターンに基づくと以下のとおりです。

イベント 時期(目安) 備考
短答式試験の官報公告 2月上旬 正式な日程・受験案内の公表
短答式試験の出願期間 2月中旬〜3月中旬 約1ヶ月間
短答式試験 5月中旬(日曜日) 全国の試験会場で実施
短答式試験の合格発表 6月下旬 国土交通省HPに掲載
論文式試験の出願期間 短答式合格発表後〜7月上旬 短答式合格者・免除者が対象
論文式試験 8月上旬(3日間) 土・日・月の連休を利用
論文式試験の合格発表 10月中旬〜下旬 国土交通省HPに掲載

短答式試験の日程詳細

短答式試験は例年5月の第2日曜日前後に実施されます。1日で全科目を受験する形式です。

項目 内容
試験日 5月中旬の日曜日
試験時間 午前:鑑定理論(約2時間)、午後:行政法規(約2時間)
試験会場 北海道、宮城、東京、新潟、愛知、大阪、広島、香川、福岡、沖縄
合格発表 6月下旬

論文式試験の日程詳細

論文式試験は例年8月の第1土曜日から3日間にわたって実施されます。

項目 内容
試験日 8月上旬の土・日・月(3日間)
1日目 民法、経済学
2日目 会計学、鑑定理論(論文)
3日目 鑑定理論(演習)
試験会場 東京、大阪、福岡(短答式より会場が限られる)
合格発表 10月中旬〜下旬

受験資格

短答式試験の受験資格

不動産鑑定士試験の短答式試験には、受験資格の制限がありません。学歴・年齢・国籍を問わず、誰でも受験できます。

項目 内容
学歴 不問
年齢 不問
国籍 不問
実務経験 不要

この点は他の難関国家資格(公認会計士、司法試験など)と同様であり、不動産鑑定士試験の門戸の広さを示しています。

論文式試験の受験資格

論文式試験を受験するには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

  • 当年の短答式試験に合格した者
  • 前年の短答式試験に合格し、免除の適用を受ける者(短答式試験の合格は翌年まで有効)
  • 短答式試験免除者(大学教授で鑑定評価に関する科目を担当する者等、特定の資格・経歴を持つ者)

短答式試験の合格は翌年度まで有効です。つまり、令和7年に短答式に合格すれば、令和7年と令和8年の論文式試験を受験できます。この制度を活用して、短答式合格の翌年に論文式に集中する「2年分離戦略」を採る受験生も多くいます。


試験科目と配点

短答式試験の科目

短答式試験はマークシート方式(五肢択一)で、以下の2科目が出題されます。

科目 出題数 試験時間 出題範囲
不動産の鑑定評価に関する理論 40問 120分 鑑定評価基準、留意事項
不動産に関する行政法規 40問 120分 都市計画法、建築基準法等の37法令

合格基準は、総合点で概ね7割(140点/200点満点)が目安とされています。ただし、各科目に足切りがあり、一定の点数を下回ると総合点が基準を超えていても不合格となります。

論文式試験の科目

論文式試験は記述式(論文形式)で、以下の科目が出題されます。

科目 配点 試験時間 試験日
民法 100点 120分 1日目午前
経済学 100点 120分 1日目午後
会計学 100点 120分 2日目午前
不動産の鑑定評価に関する理論(論文) 100点 120分 2日目午後
不動産の鑑定評価に関する理論(演習) 100点 120分 3日目
合計 500点

論文式試験の合格基準は総合点で概ね6割が目安です。鑑定理論は「論文」と「演習」で合計200点配点があり、全科目の中で最も比重が大きいことがわかります。

鑑定理論(演習)とは

鑑定理論の演習問題は、実際の鑑定評価を想定した計算問題です。与えられた条件のもとで、取引事例比較法収益還元法等を適用し、具体的な評価額を算出する問題が出題されます。単なる暗記では対応できず、手法の実践的な理解が求められる科目です。


出願方法

出願の手続き

短答式試験の出願は、例年2月中旬から3月中旬の約1ヶ月間に行います。

項目 内容
出願方法 郵送(書留郵便)または持参
提出先 国土交通省土地鑑定委員会事務局
受験手数料 書面申請:13,000円(電子申請:12,800円)
必要書類 受験願書、写真、受験手数料の払込証明書

出願時の注意点

  • 締切厳守:締切日の消印有効が一般的ですが、必ず受験案内で確認
  • 写真の規格:縦4.5cm×横3.5cm、6ヶ月以内に撮影したもの
  • 試験地の選択:出願時に試験地を選択する(後からの変更は不可)
  • 受験票の到着:試験日の2〜3週間前に届く。届かない場合は問い合わせが必要

合格発表と合格後の流れ

合格発表の方法

合格発表は、国土交通省のウェブサイトおよび官報への掲載により行われます。

試験 合格発表時期 発表方法
短答式 6月下旬 国土交通省HP、官報
論文式 10月中旬〜下旬 国土交通省HP、官報

合格後のステップ

論文式試験に合格した後、不動産鑑定士として活動するまでには以下のステップが必要です。

  1. 実務修習の受講 ― 1年・2年・3年コースから選択(費用は約100万円)
  2. 修了考査の合格 ― 口述試験形式で実施
  3. 不動産鑑定士の登録 ― 国土交通大臣に登録申請

実務修習の詳細については、実務修習の流れと費用で解説しています。


試験対策のポイント

短答式試験の対策

短答式試験の合格率は例年30〜37%で推移しています。対策のポイントは以下のとおりです。

  • 鑑定理論:鑑定評価基準の条文を正確に理解し、暗記する。暗記術を活用して効率的に学習する
  • 行政法規:37法令の横断的な理解が重要。法律ごとの制度趣旨を押さえた上で、個別の条文知識を積み上げる
  • 過去問の徹底演習:出題パターンの把握と、選択肢の正誤判定のスピードアップ

論文式試験の対策

論文式試験の合格率は例年14〜17%です。短答式と比べて大幅に難易度が上がります。

  • 鑑定理論(論文):基準の条文を正確に再現する力に加え、論理的な記述力が必要
  • 鑑定理論(演習):計算過程を正確に記述する練習を繰り返す
  • 民法:判例・条文の正確な理解と、答案構成力の養成
  • 経済学:ミクロ・マクロの基本理論と計算問題への対応力
  • 会計学:簿記の基礎力と会計理論の理解

科目別の学習時間配分については科目別の勉強時間配分ガイドを参考にしてください。

学習計画の立て方

令和7年試験に向けた学習計画は、受験戦略によって大きく異なります。

戦略 内容 適している人
一括合格 短答式・論文式を同一年度で合格 フルタイムで学習に専念できる人
2年分離戦略 1年目に短答式、2年目に論文式 社会人受験生の王道パターン
3年計画 1年目は基礎固め、2年目に短答式、3年目に論文式 学習時間が限られる社会人

社会人の学習戦略では、働きながら合格を目指す具体的な方法を解説しています。


受験にあたっての注意事項

試験当日の持ち物

持ち物 備考
受験票 写真貼付済みであること
筆記用具 HBの鉛筆(短答式)、黒のボールペンまたは万年筆(論文式)
消しゴム 短答式のマークシート用
時計 通信機能のないもの。スマートウォッチは不可
電卓 論文式の鑑定理論(演習)で使用可能。関数機能付きは不可
昼食・飲料 試験会場周辺に店舗がない場合もあるため持参推奨

よくある質問

Q. 短答式試験の合格は何年間有効ですか?

短答式試験の合格は翌年度まで有効です。つまり、令和7年に合格すれば令和8年の論文式試験まで受験できます。ただし、それ以降は短答式からの再受験が必要です。

Q. 論文式試験で科目合格制度はありますか?

不動産鑑定士試験の論文式試験には、科目合格制度はありません。毎回全科目を受験し、総合点で合否が判定されます。

Q. 試験に年齢制限はありますか?

年齢制限は一切ありません。実際に、50代・60代で合格する方もいます。50代からの挑戦ガイドでは、年齢に応じた学習戦略を紹介しています。


まとめ

令和7年不動産鑑定士試験のポイントを整理します。

  • 短答式試験は5月中旬論文式試験は8月上旬に実施される
  • 出願は2月中旬から3月中旬で、受験手数料は13,000円
  • 短答式は鑑定理論と行政法規の2科目(マークシート方式)
  • 論文式は鑑定理論・民法・経済学・会計学の4科目(記述方式、3日間)
  • 短答式合格は翌年度まで有効で、2年分離戦略が可能
  • 合格後は実務修習を経て不動産鑑定士として登録

試験に関する正式な日程・要項は、必ず国土交通省の公式発表を確認してください。合格率の推移と難易度分析は合格率推移で詳しく解説しています。計画的な学習で合格を勝ち取りましょう。