依頼目的と鑑定評価の条件とは

依頼目的とは、鑑定評価を依頼する理由・用途のことであり、鑑定評価の条件とは、依頼目的に応じて設定される鑑定評価の前提条件のことです。不動産鑑定士試験では、対象確定条件や価格の種類の決定と関連づけて出題される重要な概念です。

不動産の鑑定評価に当たっては、依頼目的に応じ、条件の設定の必要性を確認した上で、鑑定評価の条件を設定しなければならない。

― 不動産鑑定評価基準 総論第5章第1節


わかりやすく言うと

「なんのために鑑定評価をするのか」という目的によって、評価の前提条件が変わるということです。たとえば、売却のための鑑定と、担保設定のための鑑定では、求めるべき価格の種類や条件が異なることがあります。

依頼目的が決まれば、鑑定評価の条件が決まり、求めるべき価格の種類も決まるという流れです。


身近な具体例

例1: 売却と担保では評価が変わる

自宅を売却するために鑑定を依頼する場合は、正常価格を求めることが一般的です。一方、同じ不動産を担保として銀行が評価する場合は、より保守的な評価が求められることがあります。依頼目的が「売却」か「担保」かによって、鑑定士が設定する条件が異なるのです。

例2: 更地としての評価と現況評価

古い建物が建っている土地について、「建物を取り壊して更地として売却する予定なので、更地としての価格を知りたい」という依頼があったとします。この場合、鑑定士は「建物がないものとして」という独立鑑定評価の条件を設定し、更地としての評価を行います。現況のまま評価する場合とは前提条件が大きく異なります。


鑑定評価の条件の種類

条件の種類 内容 具体例
対象確定条件 対象不動産を確定するための条件 更地として評価、建付地として評価
地域要因・個別的要因に関する想定上の条件 要因について想定する条件 土壌汚染がないものとして評価
調査範囲等の条件 調査の範囲を限定する条件 内覧調査を行わないことを条件とする

鑑定評価における位置づけ

依頼目的と鑑定評価の条件は、鑑定評価の出発点となる概念です。

  • 価格の種類の決定: 依頼目的に応じて、正常価格・限定価格・特定価格・特殊価格のいずれを求めるかが決まる
  • 対象確定条件の設定: 対象不動産を「何として」評価するかを確定する
  • 鑑定評価書への記載: 依頼目的と条件は鑑定評価書に必ず記載される事項
  • 鑑定評価の責任範囲: 設定した条件の範囲内で鑑定士は責任を負う

関連する用語との違い

用語 意味 違いのポイント
依頼目的 鑑定評価を依頼する理由・用途 「なぜ」鑑定するか
鑑定評価の条件 鑑定評価の前提条件 「どのような前提で」鑑定するか
対象確定条件 対象不動産を確定するための条件 鑑定評価の条件の一部
価格時点 価格を判定する基準日 「いつの時点の」価格か

試験での出題ポイント

短答式試験

  • 依頼目的と価格の種類の関係: 「担保評価のために鑑定評価を行う場合は、必ず限定価格を求める」→ 誤り(担保でも通常は正常価格)
  • 条件設定の必要性: 「鑑定評価の条件は依頼者が自由に設定できる」→ 誤り(鑑定士が妥当性を判断する)

論文式試験

  • 「鑑定評価の条件の意義と種類を述べ、条件設定に際しての留意点を論述せよ」
  • 依頼目的→条件設定→価格の種類の決定という論理的な流れを構成できるかがポイント

まとめ

依頼目的は「なぜ鑑定するのか」、鑑定評価の条件は「どのような前提で鑑定するのか」を示す概念であり、鑑定評価のプロセスの出発点です。対象確定条件正常価格の理解と一体的に学習し、依頼目的→条件設定→価格の種類という流れを確実に押さえましょう。