代替の原則とは|具体例でわかりやすく解説
代替の原則とは
代替の原則とは、ある不動産の価格は、その不動産と代替関係にある他の不動産の価格と相互に関連して形成されるという原則です。不動産鑑定士試験では、鑑定評価の三方式の理論的根拠として頻出の概念です。
不動産の価格は、その不動産と代替関係にある不動産の価格と相互に関連して形成される。
― 不動産鑑定評価基準 総論第4章
わかりやすく言うと
「似たような物件があれば、価格はお互いに影響し合う」という考え方です。ある駅前のマンションが5,000万円で売られているなら、同じ駅前で同等のスペックを持つマンションも、おおむね似た価格帯になるはずです。
もし一方が極端に安ければ、そちらに買い手が集中して価格が上がり、逆に高すぎれば買い手がつかず価格が下がります。このように、代替可能な不動産同士の価格は自然と近づいていくという法則が代替の原則です。
身近な具体例
例1: コンビニのおにぎり
セブンイレブンの鮭おにぎりが150円、隣のローソンの鮭おにぎりが300円だったら、ほとんどの人はセブンイレブンで買います。代替可能な商品は、価格が離れすぎると需要が移動するため、結果的に価格は近い水準に落ち着きます。不動産も同じで、同等の効用を持つ物件同士の価格は互いに引っ張り合う関係にあります。
例2: 隣接する住宅地の土地
A駅徒歩5分・50坪の更地が4,000万円で売りに出ているとき、同じA駅徒歩7分・50坪の更地がいくらなら売れるかを考えます。条件がほぼ同等なので、3,800万〜4,200万円程度の範囲に落ち着くと予想されます。これが代替の原則の実際の働きです。取引事例比較法は、まさにこの原則を手法化したものです。
鑑定評価における位置づけ
代替の原則は、鑑定評価の三方式すべての理論的基盤となっています。
- 取引事例比較法: 代替可能な不動産の取引事例から比準して価格を求める
- 原価法: 同等の不動産を新たに造ることにいくらかかるかで価格を求める(再調達コストという「代替」)
- 収益還元法: 同等の収益を生む他の投資対象との比較で価格が決まる
このように、代替の原則は鑑定評価の三方式の根底に流れる考え方であり、諸原則の中でも最も実務に直結する原則の一つです。
関連する用語との違い
| 用語 | 意味 | 違いのポイント |
|---|---|---|
| 代替の原則 | 代替関係にある不動産の価格は相互に関連する | 価格形成の「横のつながり」を示す |
| 競争の原則 | 超過利潤は競争を引き起こし価格を均衡させる | 市場参加者の「行動」に着目する |
| 需要と供給の原則 | 価格は需要と供給の相互関係で定まる | 市場全体の「量的バランス」に着目する |
試験での出題ポイント
短答式試験
- 代替の原則と三方式の関係: 「代替の原則は取引事例比較法のみの理論的根拠である」→ 誤り(三方式すべての根拠)
- 代替関係の範囲: 同種の不動産間だけでなく、異種の不動産や他の投資商品との間にも成立する点が問われる
論文式試験
- 「鑑定評価の三方式の意義とその理論的根拠を、代替の原則と関連づけて論述せよ」という形式で出題される
- 代替関係の広がり(同一需給圏、類似不動産、他の資産クラス)について具体的に展開できるかがポイント
まとめ
代替の原則は、「似た不動産同士の価格は互いに影響し合う」というシンプルだが重要な原則です。鑑定評価の三方式すべての理論的根拠であり、特に取引事例比較法との結びつきが強い原則です。試験では、代替関係が同種の不動産に限らないことや、三方式との関係を正確に押さえておくことが重要です。