論文式・会計学の対策|簿記未経験からの学習法
論文式・会計学の攻略法とは
論文式試験の会計学は、簿記未経験の受験生にとって最もハードルが高く感じられる科目です。しかし、出題範囲は財務会計論が中心であり、簿記3級〜2級レベルの知識を土台にして会計基準の論点を学習すれば、十分に合格点に到達できます。重要なのは、基礎を固めてから応用に進むという順序を守ることです。
出題形式と配点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題数 | 2問 |
| 配点 | 各50点(計100点) |
| 試験時間 | 120分 |
| 出題範囲 | 財務会計論が中心 |
出題は論述式が中心ですが、仕訳問題や計算問題が含まれることもあります。理論と計算の両方に対応できる力が求められます。
簿記未経験者の学習ロードマップ
第1段階:簿記3級の知識習得(1〜2ヶ月)
まずは簿記の基礎を身につけます。
- 仕訳の基本ルール(借方・貸方)
- 勘定科目の分類(資産・負債・純資産・収益・費用)
- 試算表の作成
- 決算整理仕訳
- 財務諸表(貸借対照表・損益計算書)の構造
簿記3級の資格取得まで目指す必要はありませんが、テキストを1冊通読し、基本的な仕訳ができるようになることが目標です。
第2段階:簿記2級の知識習得(2〜3ヶ月)
次に、簿記2級レベルの知識を習得します。ただし、鑑定士試験に関連する分野に絞ります。
- 固定資産の減価償却
- 有価証券の評価
- 引当金の計上
- リース取引の会計処理
- 連結会計の基礎
- 税効果会計の基礎
第3段階:会計学の論点学習(3〜6ヶ月)
簿記の基礎ができたら、会計基準の理論的な論点を学習します。
- 各会計基準の趣旨と内容
- 会計処理の根拠(なぜそのような処理をするのか)
- 代替的な会計処理とその理論的根拠
- 論述答案の書き方
頻出テーマ
1. 減価償却
不動産鑑定と密接に関連する減価償却は、最も出題頻度の高いテーマです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定額法 | 毎期均等額を償却 |
| 定率法 | 未償却残高に一定率を乗じて償却 |
| 生産高比例法 | 利用度に応じて償却 |
| 減損会計 | 固定資産の収益性低下時の処理 |
鑑定評価基準の原価法における減価修正と、会計学の減価償却は類似する概念ですが、その目的と方法は異なります。原価法は不動産の価格を求めるための手法であり、会計上の減価償却は取得原価の期間配分を目的としています。
2. 引当金
引当金の計上要件と各種引当金の処理は頻出テーマです。
引当金の計上要件(4要件): – 将来の特定の費用または損失であること – その発生が当期以前の事象に起因すること – 発生の可能性が高いこと – 金額を合理的に見積もることができること
主な引当金の種類: – 貸倒引当金 – 退職給付引当金 – 修繕引当金 – 賞与引当金
3. リース会計
リース取引の分類と会計処理は近年の頻出テーマです。
- ファイナンス・リース取引の判定基準
- 売買処理と賃貸借処理
- リース資産・リース債務の計上
- 減価償却の方法
4. 税効果会計
税効果会計の基本的な仕組みは定期的に出題されます。
- 一時差異と永久差異の区別
- 繰延税金資産と繰延税金負債
- 将来減算一時差異と将来加算一時差異
- 回収可能性の判断
5. 連結会計
連結会計の基礎的な論点も出題されることがあります。
- 連結の範囲(支配力基準)
- 投資と資本の相殺消去
- のれんの会計処理
- 連結上の未実現利益の消去
6. その他の頻出テーマ
- 収益認識:新収益認識基準の5ステップ
- 棚卸資産の評価:原価法と低価法
- 有価証券の評価:保有目的に応じた評価方法
- 外貨建取引:決算日レート法、発生時レート法
- 企業結合:取得と持分の統合
計算問題の対策
会計学では、論述問題の中に計算問題が組み込まれることがあります。
よく出る計算パターン
- 減価償却費の計算:定額法・定率法の計算
- 引当金の計上額の計算:貸倒引当金の算出
- リース料の現在価値計算:割引現在価値の算出
- 税効果会計の計算:繰延税金資産・負債の計上額
- 連結修正仕訳:投資と資本の相殺消去額
計算力の養成法
- 基本問題を繰り返す:基本的な仕訳・計算問題を反復
- 電卓操作に慣れる:演習科目と共通の電卓スキル
- 制限時間内で解く練習:1問20分を目安に時間を計って解く
論述の書き方
会計学の論述の基本構成
- 会計処理の原則・基準の説明
- その根拠(理論的背景)の説明
- 具体的な会計処理の方法
- 計算例や仕訳の提示(求められる場合)
論述のポイント
- 会計基準の趣旨を書く:なぜその処理が求められるのかを説明する
- 代替処理がある場合は両方示す:原則法と簡便法、容認処理がある場合は言及する
- 図表を活用する:T字勘定や計算過程を図表で示すと分かりやすい
試験での出題ポイント
短答式試験
会計学は短答式試験では出題されません。論文式試験のみの科目です。
論文式試験
会計学の論文式で高得点を取るためのポイントは以下のとおりです。
- 会計基準の趣旨を正確に書く:暗記ではなく理解に基づいた記述
- 計算過程を丁寧に示す:途中の仕訳や計算式も記述する
- 概念フレームワークに言及する:資産・負債の定義、認識・測定の基準
- 制度の横断的理解を示す:類似する制度の比較・対比ができると評価が高い
暗記のポイント
会計学の論文式対策で暗記すべき重要事項をまとめます。
- 引当金の4要件:将来の特定の費用・損失、当期以前の事象に起因、発生可能性が高い、合理的に見積可能
- 減価償却の3方法:定額法・定率法・生産高比例法の計算式と特徴
- リースの判定基準:ファイナンス・リースの2要件(ノンキャンセラブル、フルペイアウト)
- 概念フレームワークの基本概念:意思決定有用性、質的特性(信頼性、比較可能性等)
- 収益認識の5ステップ:契約の識別→履行義務の識別→取引価格の算定→配分→充足時に収益認識
- 税効果会計の一時差異の具体例:減価償却超過額、貸倒引当金繰入超過額、その他有価証券評価差額金
まとめ
会計学は簿記未経験者にとって心理的なハードルが高い科目ですが、段階的に学習を進めれば十分に合格できます。
- 出題形式:論述2問・各50点・120分
- 学習ロードマップ:簿記3級の基礎→簿記2級の応用→会計基準の論点
- 頻出テーマ:減価償却、引当金、リース会計、税効果会計、連結会計
- 計算対策:基本問題の反復と電卓操作の習熟
- 論述の書き方:会計基準の趣旨→処理方法→計算例の構成
鑑定理論の原価法における減価修正と会計学の減価償却は関連する概念であるため、両科目を関連づけて学習すると理解が深まります。学習スケジュールを参考に、計画的に学習を進めましょう。