標準的画地と標準価格とは

標準的画地とは、近隣地域内において標準的な使用に供されている画地(一区画の宅地)のことです。そして標準価格とは、その標準的画地の単位面積あたりの価格をいいます。不動産鑑定士試験では、近隣地域の価格水準を代表する概念として両者の関係が問われます。

近隣地域の特性は、通常、その地域に属する不動産のうち、標準的な使用に供されている標準的画地の標準価格を通じて地域の価格水準として具体的に現れる。

― 不動産鑑定評価基準 総論第6章第1節


わかりやすく言うと

近隣地域には様々な土地がありますが、そのうち面積・形状・接道等が地域の標準的な水準にある土地を「標準的画地」と呼びます。そして、その標準的画地の1平方メートル(または1坪)あたりの価格が「標準価格」です。

たとえば、ある住宅地の近隣地域で、多くの区画が50坪・整形・幅員6mの道路に面しているなら、そのような条件の土地が標準的画地です。この標準的画地の坪単価が100万円なら、それがこの近隣地域の標準価格となります。


標準的画地の判定方法

判定の考え方

標準的画地は、近隣地域内における標準的な使用に供されている画地です。以下の要素について、地域の標準的な水準にあるものを選定します。

判定要素 内容
地積 地域内で標準的な面積
形状 整形に近い、地域内で一般的な形状
間口・奥行 地域内で標準的な間口・奥行の比率
接面街路 地域内で標準的な道路に面している
角地・中間画地 地域内で多数を占める位置関係
利用状況 地域の標準的使用に合致した利用

標準的画地は「仮想の画地」

標準的画地は、必ずしも実在する特定の画地を指すわけではありません。近隣地域内の画地の特性を平均的・代表的にまとめた仮想的な画地として把握することが多いです。


標準価格と個別の不動産価格の関係

標準価格は近隣地域の価格水準を代表する指標であり、個々の不動産の価格は標準価格を基準として、個別的要因による修正を加えて求められます。

個別の不動産の価格 = 標準価格 × 個別的要因の格差修正率

たとえば、標準価格が坪100万円の住宅地で、角地(+5%)・やや不整形(-3%)の土地であれば、

100万円 × (1 + 0.05 - 0.03) = 102万円/坪

のように個別の価格が算定されます。


身近な具体例

例1: 住宅地の標準価格

ある住宅地の近隣地域では、多くの区画が以下のような条件を持っています。

  • 面積: 45〜55坪
  • 形状: ほぼ整形
  • 前面道路: 幅員6mの市道
  • 位置: 中間画地
  • 駅距離: 徒歩12分

この条件に合致する土地が標準的画地であり、その坪単価(たとえば80万円/坪)が標準価格です。面積が30坪と小さい土地や、100坪と大きい土地は、標準的画地からの乖離分を個別的要因として修正して価格を求めます。

例2: 公示価格との関係

国土交通省が公表する地価公示の標準地も、標準的画地の考え方を基礎にしています。標準地は「土地の利用状況、環境等が当該近隣地域において通常であると認められる一団の土地」から選定され、その価格が公示されます。標準的画地と標準価格の関係は、地価公示制度の基礎でもあるのです。


取引事例比較法における標準価格

取引事例比較法では、取引事例から標準価格を求め、そこから対象不動産の価格を査定するプロセスを踏みます。

  1. 取引事例の事情補正・時点修正を行う
  2. 標準化補正(取引事例の個別性を排除して標準的画地の価格に補正)
  3. 地域要因の比較(類似地域の事例なら近隣地域との地域格差を補正)
  4. 近隣地域の標準価格を把握
  5. 対象不動産の個別的要因による格差修正
  6. 比準価格の算定

標準価格は、このプロセスの中間段階に位置する重要な基準点です。


関連用語との比較

用語 意味 位置づけ
標準的画地 近隣地域内の標準的な画地 価格水準の基準となる画地
標準価格 標準的画地の単位面積あたり価格 近隣地域の価格水準の代表値
比準価格 取引事例比較法で求めた価格 対象不動産の個別価格
標準的使用 近隣地域内で標準的と認められる使用方法 標準的画地の利用状態

試験での出題ポイント

短答式試験

  • 標準的画地の性質: 「標準的画地は実在する特定の画地でなければならない」→ 誤り(仮想的な画地として把握できる)
  • 標準価格の位置づけ: 「標準価格は近隣地域の価格水準を代表する」→ 正しい

論文式試験

  • 「標準的画地と標準価格の関係を説明し、取引事例比較法における位置づけを論述せよ」
  • 標準化補正→地域要因比較→個別的要因修正という一連の流れの中で論じることがポイント

暗記のポイント

  1. 標準的画地の定義: 近隣地域内で標準的な使用に供されている画地
  2. 標準価格の意義: 近隣地域の価格水準を具体的に示す指標
  3. 個別価格との関係: 標準価格 × 個別的要因の格差修正率 = 個別の不動産の価格

まとめ

標準的画地は近隣地域を代表する画地であり、その単位面積あたり価格が標準価格です。標準価格は近隣地域の価格水準を具体的に表すものであり、取引事例比較法における比準価格算定の重要な中間段階でもあります。近隣地域の特性を正確に把握し、標準的画地を適切に設定できるかどうかが、鑑定評価の精度を左右する重要なポイントです。