競争の原則とは|超過利潤が競争を生む仕組み
競争の原則とは(結論を一言で)
競争の原則とは、超過利潤(通常以上の利益)が生じている分野には新たな参入が起こり、競争によってその超過利潤はやがて消滅するという原則です。不動産鑑定士試験では、不動産市場における価格の自律調整メカニズムとして出題されます。
超過利潤は競争を惹起し、競争は超過利潤を減少させる傾向を持つ。したがって、不動産についても超過利潤を求めて不動産市場への参入が行われ、その結果、超過利潤は次第に減少する。
― 不動産鑑定評価基準 総論第4章
わかりやすく言うと
「儲かる場所には人が集まり、やがて儲けは普通に戻る」ということです。ある地域で賃貸アパート経営が非常に高い利回りを生んでいると、それを見た他のデベロッパーも同じ地域にアパートを建て始めます。供給が増えると空室が出始め、賃料は下がり、最初の超過利潤は次第に薄まっていくのです。
身近な具体例
例1: タピオカブームと商業テナント
数年前のタピオカブームでは、人気店が大行列をつくり、月商数百万円を稼ぐ店舗も珍しくありませんでした。すると同じ通りに次々とタピオカ店が出店し、競争が激化。やがてブームが落ち着くと閉店が相次ぎました。超過利潤が競争を呼び、競争が超過利潤を消滅させる典型例です。
例2: 高利回りの賃貸マンションエリア
ある地方都市の駅前で、賃貸マンションの利回りが10%と非常に高かったとします。これを知った投資家やデベロッパーが次々と新築マンションを建設します。供給が増えると入居率が低下し、賃料も下落。結果として利回りは7%程度に落ち着きます。収益還元法で鑑定評価を行う際には、現在の高い利回りが持続するかどうかをこの原則に照らして判断する必要があります。
鑑定評価における位置づけ
競争の原則は、鑑定評価の以下の場面で重要な役割を果たします。
- 収益還元法の適用: 対象不動産の収益が超過利潤を含んでいないかの判断
- 最有効使用の判定: 超過利潤が長期的に持続可能かの検討
- 将来予測: 競争による収益の変動を予測に織り込む
- 市場分析: 対象地域への新規参入の可能性を評価する
関連する用語との違い
| 用語 | 意味 | 違いのポイント |
|---|---|---|
| 競争の原則 | 超過利潤が競争を招き、やがて利潤は減少する | 市場参加者の「参入行動」に着目 |
| 需要と供給の原則 | 価格は需給バランスで決まる | 市場全体の「量的均衡」に着目 |
| 均衡の原則 | 不動産の構成要素のバランスが価格に影響する | 不動産の「内部的バランス」に着目 |
試験での出題ポイント
短答式試験
- 超過利潤と競争の因果関係: 「競争が超過利潤を生む」→ 誤り(超過利潤が競争を惹起する)
- 不動産市場の特殊性: 不動産は供給に時間がかかるため、一般の財より競争の調整に時間を要する点が問われる
論文式試験
- 「競争の原則と収益還元法の関連を論述せよ」という形式がありうる
- 超過利潤の持続性と安定的な純収益の判断を結びつけて論述できるかがポイント
まとめ
競争の原則は、「儲かる市場には参入が起こり、超過利潤は消滅に向かう」という市場の自律調整メカニズムを示す原則です。収益還元法における将来収益の予測や、最有効使用の持続可能性の判断に直結する重要な原則です。諸原則全体の体系と併せて理解しておきましょう。