変動の原則とは|地価変動の具体例で解説
変動の原則とは
変動の原則とは、不動産の価格形成要因は常に変動の過程にあり、それに伴って不動産の価格も変動するという原則です。不動産鑑定士試験では、価格時点の意義や将来予測の必要性と関連づけて出題される重要な概念です。
不動産の価格は、不動産の価格を形成する要因が常に変動の過程にあることから、不動産の価格もこれらの変動に伴って変動するものである。したがって、不動産の鑑定評価に当たっては、価格形成要因が将来どのように変動するかについての予測を行うことが必要である。
― 不動産鑑定評価基準 総論第4章
わかりやすく言うと
「不動産の価格は常に動いている」ということです。経済情勢、金利水準、人口動態、都市計画など、不動産の価格に影響する要因は絶えず変化しています。昨年4,000万円だった土地が、今年は4,500万円になっていることは珍しくありません。
だからこそ、鑑定評価を行うときは「今この瞬間の価格」だけでなく、「将来どう変化するか」まで考える必要があるのです。
身近な具体例
例1: 新駅開業と地価の変動
ある郊外の住宅地に新しい鉄道駅が開業することが発表されました。発表前は坪50万円だった土地が、発表後には坪70万円に上昇しました。さらに開業後には坪80万円に達しています。交通インフラという価格形成要因の変動が、地価を押し上げた典型例です。
例2: バブル崩壊後の商業地
1990年前後のバブル期、東京都心の商業地は坪数千万円に達しましたが、バブル崩壊後は半値以下に急落しました。経済情勢・金融環境という一般的要因の変動が、不動産の価格を大きく動かした事例です。鑑定評価では、こうした変動の過程を適切に把握し、価格時点における価格を判定する必要があります。
鑑定評価における位置づけ
変動の原則は、鑑定評価の実務で以下の場面に関わります。
- 価格時点の設定: 価格は常に変動するため、「いつの時点の価格か」を明確にする必要がある
- 価格形成要因の分析: 一般的要因・地域要因・個別的要因の変動を把握する
- 時点修正: 取引事例の価格を価格時点に修正する際、変動の原則が根拠となる
- 予測の原則との関連: 変動するからこそ将来予測が不可欠という論理的なつながりがある
関連する用語との違い
| 用語 | 意味 | 違いのポイント |
|---|---|---|
| 変動の原則 | 価格形成要因は常に変動し、価格も変動する | 「変化する」という事実を示す |
| 予測の原則 | 価格は将来の予測に基づいて形成される | 「将来を見通す」必要性を示す |
| 需要と供給の原則 | 価格は需給バランスで決まる | 変動の一因を説明する |
試験での出題ポイント
短答式試験
- 変動の原則と価格時点の関係: 価格が変動するからこそ、価格時点を確定する必要があるという論理が問われる
- 変動の原則と時点修正: 取引事例比較法における時点修正の根拠として問われる
論文式試験
- 「変動の原則と予測の原則の関係を論述せよ」という出題パターンが典型的
- 変動の原則→予測の原則→価格時点の意義という論理の流れを構成できるかが採点ポイント
まとめ
変動の原則は、「不動産の価格は常に動いている」という事実を示す原則であり、価格時点の設定や時点修正の理論的根拠です。予測の原則と表裏一体の関係にあり、両者をセットで理解することが試験対策として重要です。価格形成要因の分析や諸原則全体の体系についても併せて確認しておきましょう。