試験直前期の過ごし方とは

試験直前の1ヶ月は、合否を決定づける最も重要な期間です。この時期にやるべきことは明確で、これまで学習してきた内容の総復習と弱点補強に全力を注ぐことです。新しい教材や未学習分野に手を出すことは、不安を増大させるだけで逆効果になります。

本記事では、短答式試験(5月)と論文式試験(7〜8月)それぞれの直前期の過ごし方を具体的に解説します。

短答式試験の直前期(4月〜5月)

残り1ヶ月のスケジュール

時期 やるべきこと 優先度
4週間前 過去問総復習の開始。全年度を通しで解く 最高
3週間前 間違えた問題の分析と弱点分野の補強 最高
2週間前 2周目の過去問演習。苦手分野を重点的に
1週間前 3周目(間違えた問題のみ)。暗記事項の最終確認
前日 軽い復習のみ。持ち物の確認。早めに就寝

鑑定理論(短答)の直前対策

鑑定理論の短答式では、鑑定評価基準の正確な理解が問われます。

  • 基準の条文暗記:曖昧な部分を洗い出し、正確に覚え直す
  • 肢別問題集の総復習:特に間違えやすい選択肢のパターンを把握
  • 過去問の選択肢分析:なぜその選択肢が正しい(または誤り)のかを説明できるレベルに

行政法規の直前対策

行政法規は暗記科目のため、直前期の追い込みが最も効果を発揮する科目です。

  • 頻出条文の再確認:都市計画法、建築基準法の数値(用途地域の建蔽率・容積率など)
  • 一問一答の高速回転:1日100問以上のペースで回す
  • 間違えノートの活用:繰り返し間違える問題をノートにまとめ、毎日見返す

論文式試験の直前期(7月〜8月)

残り1ヶ月のスケジュール

時期 やるべきこと 詳細
4週間前 全科目の答案練習を開始 時間を計って本番形式で書く
3週間前 弱点科目の集中強化 模試の結果から優先順位を決める
2週間前 鑑定理論の論文暗記の最終確認 基準の重要箇所を完璧に
1週間前 全科目の最終チェック 計算ミスしやすい箇所の確認
前日〜当日 軽い確認のみ。体調最優先 新しいことはやらない

科目別の論文式直前対策

鑑定理論(論文)

鑑定理論は論文式の最重要科目です。配点が高く、ここで差がつきます。

  • 基準の暗記確認三方式価格の種類など、頻出テーマの暗記を完璧にする
  • 論文の書き方の確認:問題文の指示に的確に答える構成力を磨く
  • 過去問の答案作成:時間内に書き切る練習を繰り返す

民法

  • 頻出テーマの論証パターンを確認:物権変動、抵当権、賃貸借、債務不履行
  • 答案構成の練習:問題を読んで5分で構成を組み立てる訓練
  • 判例の結論と理由付けを簡潔に書けるように

経済学

  • 計算問題のパターン確認:最適化問題、均衡分析の解法手順を再確認
  • グラフの描き方:IS-LM、AD-AS、需要供給曲線のシフトを正確に描く練習
  • 論述の定型文:経済学特有の論述パターンを暗記

会計学

  • 仕訳パターンの最終確認:間違えやすい仕訳を重点的に復習
  • 会計理論の論述:重要な会計基準の趣旨と理由付けを確認
  • 計算問題のケアレスミス対策:電卓の使い方、検算の習慣を再確認

やるべきこと5選

1. 過去問の総復習

過去問は最良の教材です。直前期には最低でも直近5年分を2周しましょう。

  • 1周目:時間を計って本番形式で解く
  • 2周目:間違えた問題と曖昧だった問題のみ再解答

2. 弱点の集中補強

模試や答練で点数が低かった分野を洗い出し、重点的に補強します。

  • 弱点リストを作成(科目 × テーマ × 弱点内容)
  • 1日1つの弱点を潰す計画を立てる
  • 完全に理解できなくても、部分点を取れるレベルを目指す

3. 暗記事項の最終確認

暗記は直前期に最も効果を発揮します。

  • 鑑定評価基準の重要条文
  • 行政法規の数値・要件
  • 会計学の会計基準の文言
  • 民法の条文番号と要件

4. 時間配分の練習

本番で最も怖いのは「時間切れ」です。

  • 各科目の解答時間を計って練習
  • 問題を読んで「この問題にかける時間」を即座に判断する訓練
  • 難問は後回しにする判断力を養う

5. 模試の受験

直前期に模試を受けることで、本番の緊張感を疑似体験できます。

  • 予備校の直前模試は必ず受験
  • 結果に一喜一憂せず、弱点発見のツールとして活用
  • 時間配分と答案の書き方を実戦で確認

やってはいけないこと5選

1. 新しい教材に手を出す

直前期に新しい教材を買うのは、不安の表れです。 不安を解消するのは新しい教材ではなく、既存の教材の反復です。

2. 徹夜・睡眠不足

睡眠不足は記憶の定着を妨げ、集中力を著しく低下させます。直前期こそ最低6時間の睡眠を確保しましょう。

3. 未学習分野に手を出す

今まで手をつけていない分野を直前1ヶ月で習得するのは非現実的です。既に学習した分野の精度を上げることに集中しましょう。

4. SNSで他の受験生と比較する

他の受験生の学習状況を見て焦ることは百害あって一利なしです。直前期はSNSの使用を最小限にしましょう。

5. 学習計画を大幅に変更する

直前期に学習方法や計画を大きく変えるのは危険です。これまでのペースを維持しつつ、復習の比重を高めるのが正しいアプローチです。

当日の持ち物チェックリスト

試験当日に慌てないよう、前日までに全て準備しておきましょう。

必須の持ち物

  • 受験票
  • 筆記用具(シャープペンシル2本以上、消しゴム2個、予備の芯)
  • 電卓(関数電卓は不可。音の出ないもの)
  • 時計(スマートウォッチ不可)
  • 身分証明書

あると便利なもの

  • 軽食・飲み物(昼食、間食用のチョコレートやおにぎり)
  • 薄手の上着(会場の空調対策)
  • 目薬
  • 自分のまとめノート(最終確認用)
  • 耳栓(休憩時間用)

体調管理のポイント

試験1週間前からの体調管理

  • 睡眠リズムを整える:試験当日の起床時間に合わせた生活リズムに移行
  • 食事に注意する:生ものを避け、消化の良いものを食べる
  • 適度な運動:軽いウォーキングやストレッチで血行を良くする
  • カフェインの摂りすぎに注意:不眠の原因になる

試験当日の心構え

  • 早めに会場に到着する(30分前目安)
  • 完璧を目指さない。合格点を取ることに集中する
  • 1科目終わったら切り替える。終わった科目の出来は気にしない
  • わからない問題は飛ばして、確実に解ける問題から手をつける

まとめ

直前期の過ごし方のポイントを整理します。

  • やるべきこと:過去問の総復習、弱点補強、暗記の最終確認、時間配分の練習、模試の受験
  • やってはいけないこと:新しい教材、徹夜、未学習分野への着手、SNSでの比較、計画の大幅変更
  • 体調管理:睡眠を最優先し、試験当日のコンディションを最高にする
  • 心構え:完璧を目指さず、合格点を取ることに集中する

直前期は不安が大きくなる時期ですが、ここまで学習を続けてきた自分を信じてください。働きながら合格を目指す方も、教材を吟味して学習してきた方も、直前期の過ごし方次第で結果は大きく変わります。最後まで諦めずに、合格を勝ち取りましょう。