論文式・経済学の対策|ミクロ・マクロの重点分野
論文式・経済学の攻略法とは
論文式試験の経済学は、ミクロ経済学1問・マクロ経済学1問の計2問が出題されます。数学的な要素を含むため敬遠する受験生も多いですが、出題されるテーマは比較的限られています。頻出テーマの理論を理解し、グラフを正確に描けるようにし、基本的な数式展開ができれば、安定して合格点を取れる科目です。
出題形式と配点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題数 | 2問(ミクロ1問+マクロ1問) |
| 配点 | 各50点(計100点) |
| 試験時間 | 120分 |
| 出題範囲 | ミクロ経済学、マクロ経済学 |
1問あたり60分の時間配分です。理論の説明とグラフの作成、場合によっては数学的な計算が求められます。
ミクロ経済学の頻出テーマ
1. 消費者理論(最頻出)
消費者行動の理論は、ミクロ経済学の基礎であり最も出題頻度が高いテーマです。
- 効用関数と無差別曲線
- 限界効用逓減の法則
- 無差別曲線の性質(右下がり、原点に凸、交わらない)
- 限界代替率
- 予算制約線
- 所得と価格の変化による予算線の移動
- 最適消費の決定
- 効用最大化条件:限界代替率=価格比
- ラグランジュ乗数法による解法
- 所得効果と代替効果
- スルツキー分解
- 上級財・下級財・ギッフェン財の区別
- 需要曲線の導出
2. 生産者理論
- 生産関数
- 限界生産力逓減の法則
- 規模に関する収穫(逓増・一定・逓減)
- 費用関数
- 固定費用と可変費用
- 平均費用と限界費用
- 長期費用曲線と短期費用曲線
- 利潤最大化条件
- 価格=限界費用(完全競争の場合)
- 供給曲線の導出
3. 市場均衡
- 完全競争市場の均衡
- 需要と供給の一致点
- 消費者余剰と生産者余剰
- 社会的総余剰の最大化
- 比較静学分析
- 需要・供給のシフト要因と均衡の変化
- 課税の効果
- 従量税と従価税
- 税の帰着
4. 不完全競争
- 独占
- 独占企業の利潤最大化(限界収入=限界費用)
- 独占による厚生損失(死荷重)
- 価格差別(第1種〜第3種)
- 寡占
- クールノー均衡
- ベルトラン均衡
- シュタッケルベルク均衡
- 独占的競争
- 製品差別化と超過利潤
5. 外部性と公共財
- 外部性
- 正の外部性と負の外部性
- ピグー税・補助金
- コースの定理
- 公共財
- 非排除性と非競合性
- フリーライダー問題
外部性の理論は、不動産の価格形成要因や地域分析における外部経済・外部不経済の概念と密接に関連しています。
マクロ経済学の頻出テーマ
1. IS-LM分析(最頻出)
IS-LM分析は、マクロ経済学において最も出題頻度の高いテーマです。
- IS曲線
- 財市場の均衡条件
- IS曲線の導出と傾き
- 財政政策によるIS曲線のシフト
- LM曲線
- 貨幣市場の均衡条件
- LM曲線の導出と傾き
- 金融政策によるLM曲線のシフト
- IS-LM均衡
- 財政政策と金融政策の効果
- クラウディング・アウト効果
- 流動性の罠
- 古典派のケース
2. AD-AS分析
- AD曲線(総需要曲線)
- IS-LM分析からの導出
- 物価水準と国民所得の関係
- AS曲線(総供給曲線)
- 短期AS曲線と長期AS曲線
- ケインズ派と古典派のAS曲線の違い
- AD-AS均衡
- インフレーションとデフレーション
- スタグフレーション
3. 経済成長理論
- ソロー・モデル
- 資本蓄積と定常状態
- 貯蓄率の変化の効果
- 人口成長率の影響
- 技術進歩の役割
- 黄金律の成長率
4. その他のマクロ経済テーマ
- 国民所得の決定(45度線モデル、乗数理論)
- 消費関数(ケインズ型、恒常所得仮説、ライフサイクル仮説)
- 投資理論(ケインズの投資の限界効率、トービンのq)
- フィリップス曲線
- マンデル=フレミング・モデル(開放経済のIS-LM)
グラフの描き方
経済学の答案では、グラフの正確な描画が非常に重要です。
グラフ作成のルール
- 軸ラベルを必ず書く:横軸・縦軸に変数名を明記
- 曲線に名前をつける:D、S、IS、LMなどの記号を曲線上に記す
- 均衡点を明示する:E、E’などの記号で均衡点を示す
- シフトの方向を矢印で示す:曲線のシフトは矢印で方向を明示
- 変化前と変化後を区別する:D→D’、IS→IS’のように区別
よく描くグラフ一覧
| テーマ | 必要なグラフ |
|---|---|
| 消費者理論 | 無差別曲線+予算制約線 |
| 生産者理論 | 費用曲線(AC、MC) |
| 市場均衡 | 需要曲線+供給曲線 |
| 独占 | 需要曲線+限界収入曲線+限界費用曲線 |
| IS-LM分析 | IS曲線+LM曲線 |
| AD-AS分析 | AD曲線+AS曲線 |
数学的な解法のポイント
必要な数学の知識
不動産鑑定士の経済学で必要な数学は、高校数学+αのレベルです。
- 微分:限界概念(限界費用、限界効用、限界生産力)の計算
- 偏微分:多変数関数の最適化
- 連立方程式:IS-LM均衡の計算
- ラグランジュ乗数法:制約条件付き最適化
計算問題の解法手順
- 問題文から目的関数と制約条件を特定する
- 数式を立てる
- 最適化条件を導出する(微分=0、またはラグランジュ条件)
- 連立方程式を解く
- 経済学的な解釈を加える
数学が苦手な場合の対策
- まずはグラフによる直感的な理解を優先する
- 基本的な微分の計算ルールだけ覚える(べき関数の微分、合成関数の微分)
- 過去問の計算パターンを繰り返し解いて解法を覚える
試験での出題ポイント
短答式試験
経済学は短答式試験では出題されません。論文式試験のみの科目です。
論文式試験
経済学の論文式で高得点を取るためのポイントは以下のとおりです。
- グラフを先に描く:文章を書く前にグラフを完成させる
- 経済学的直感を示す:数式だけでなく、「なぜそうなるのか」を言葉で説明する
- 結論を明確にする:政策効果の方向(増加・減少・不変)を明示する
- 前提条件を書く:「完全競争市場を仮定すると」など、前提条件を明示する
- 部分点を意識する:完全な解答ができなくても、グラフや基本的な説明で部分点を取る
暗記のポイント
経済学の論文式対策で暗記すべき重要事項をまとめます。
- 消費者の最適化条件:限界代替率=価格比(MRS = P1/P2)
- 生産者の利潤最大化条件:価格=限界費用(P = MC、完全競争の場合)
- IS曲線の式:Y = C(Y-T) + I(r) + G の均衡条件
- LM曲線の式:M/P = L(Y, r) の均衡条件
- 乗数の公式:1/(1-c)(cは限界消費性向)
- ソロー・モデルの定常状態条件:sf(k) = (n+d)k
- 各グラフのシフト要因:IS曲線は財政政策、LM曲線は金融政策でシフトすることを正確に把握
- 独占の利潤最大化条件:限界収入=限界費用(MR = MC)
まとめ
経済学は理論とグラフの理解が中心の科目であり、頻出テーマに絞った学習が有効です。
- 出題形式:ミクロ1問+マクロ1問・各50点・120分
- ミクロの重点分野:消費者理論、生産者理論、市場均衡、不完全競争
- マクロの重点分野:IS-LM分析、AD-AS分析、経済成長理論
- グラフの描画力:正確なグラフが得点を大きく左右する
- 数学力:高校数学+微分の基礎で対応可能
民法や会計学など他の論文科目とバランスを取りながら、学習スケジュールに沿って計画的に学習を進めましょう。経済学は理解が深まれば一気に得点が伸びる科目なので、基礎に十分な時間をかけることが重要です。