短答式・行政法規の攻略法とは

短答式試験の行政法規科目は、約30の法令から20問が出題される広範な科目です。すべての法令を均等に学習するのは非効率であり、頻出法令に集中して学習し、数字や期限を体系的に整理して暗記することが合格への最短ルートです。

合格ラインは鑑定理論との合計で7割程度とされていますが、行政法規は苦手とする受験生が多いため、6割(12問)を確保できれば十分な水準です。

出題形式と試験の概要

項目 内容
出題形式 5肢択一式
問題数 20問
試験時間 60分(1時間)
出題範囲 不動産鑑定評価に関連する約30の法令
合格ライン 鑑定理論と合計で概ね7割程度

1問あたり3分の時間配分です。法令の条文に関する正誤判定が中心ですが、鑑定理論と比べて範囲が広いため、メリハリのある学習が必要です。

対象法令一覧と頻出法令ランキング

主要対象法令

行政法規の対象法令は多岐にわたりますが、主なものは以下のとおりです。

分類 法令名 出題頻度
都市計画関連 都市計画法 最頻出
建築関連 建築基準法 最頻出
土地取引関連 国土利用計画法 頻出
区画整理関連 土地区画整理法 頻出
登記関連 不動産登記法 頻出
地価関連 地価公示法 頻出
鑑定関連 不動産の鑑定評価に関する法律 頻出
農地関連 農地法 やや頻出
宅地関連 宅地造成等規制法 やや頻出
税法関連 不動産取得税・固定資産税 やや頻出
環境関連 土壌汚染対策法 時々出題
マンション関連 マンションの建替え等の円滑化に関する法律 時々出題
文化財関連 文化財保護法 時々出題

頻出法令ランキングTOP5

  1. 都市計画法:用途地域、開発許可制度が中心。毎年2〜3問出題
  2. 建築基準法:用途制限、建蔽率・容積率、接道義務。毎年2〜3問出題
  3. 国土利用計画法:事後届出制、面積要件。ほぼ毎年出題
  4. 土地区画整理法:仮換地、換地処分。ほぼ毎年出題
  5. 不動産登記法:登記の種類、手続き。ほぼ毎年出題

この上位5法令だけで、全20問中10問程度(約50%)を占めます。まずはこの5法令を完璧にすることが最優先です。

法令別の重要ポイント

都市計画法

  • 都市計画区域の指定手続き
  • 区域区分(市街化区域・市街化調整区域)
  • 用途地域(13種類)の内容と制限
  • 開発許可制度(面積要件、許可不要の場合)
  • 都市計画事業の施行

建築基準法

  • 用途制限(各用途地域で建築可能な建物)
  • 建蔽率・容積率の計算と特例
  • 接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接する)
  • 防火地域・準防火地域の制限
  • 建築確認の手続き

国土利用計画法

  • 事後届出制の対象面積
  • 市街化区域:2,000平方メートル以上
  • 都市計画区域(市街化区域以外):5,000平方メートル以上
  • 都市計画区域外:10,000平方メートル以上
  • 届出期限:契約締結後2週間以内
  • 注視区域・監視区域の事前届出制

地価公示法

  • 標準地の選定基準
  • 公示価格の効力(一般の土地取引の指標、公共事業の取得価格の基準)
  • 鑑定評価基準との関係

暗記のコツ

数字・期限の整理表

行政法規で最も得点差がつくのが、数字や期限に関する問題です。以下のように横断的に整理すると効率的です。

法令 重要な数字 内容
国土利用計画法 2,000/5,000/10,000㎡ 事後届出の面積要件
国土利用計画法 2週間 届出期限
建築基準法 4m 接道義務の道路幅員
建築基準法 2m 接道義務の接道長さ
農地法 3条/4条/5条 権利移動/転用/転用目的の権利移動
都市計画法 1,000㎡(原則) 開発許可の面積要件

横断整理のポイント

複数の法令にまたがるテーマを横断的に整理する方法が効果的です。

  • 届出・許可制度の横断整理:各法令の届出・許可の要件、届出先、届出期限を一覧表にまとめる
  • 罰則の横断整理:各法令の罰則規定を比較する
  • 面積要件の横断整理:国土利用計画法、都市計画法、宅地造成等規制法などの面積要件を比較する

語呂合わせの活用

数字の暗記には語呂合わせも有効です。

  • 国土利用計画法の面積要件「に(2,000)・ご(5,000)・いち(10,000)」(市街化→都市計画→区域外の順に大きくなる)

試験での出題ポイント

短答式試験

行政法規の短答式対策で特に注意すべきポイントは以下のとおりです。

  • 最新の法改正に注意:法改正があった法令は出題されやすい
  • 「例外」に注目:原則と例外の区別が問われることが多い
  • 正確な数字の暗記:面積要件や期限は1つでも間違えると失点する
  • 類似制度の区別:似たような制度の違いを正確に理解する

論文式試験との関係

行政法規は短答式のみの出題であり、論文式試験では直接出題されません。ただし、鑑定理論の論文で対象確定条件や価格形成要因について論じる際に、行政法規の知識が間接的に役立つことがあります。

学習順序の推奨

行政法規は以下の順序で学習することを推奨します。

  1. 第1段階(最優先):都市計画法、建築基準法
  2. 第2段階(重要):国土利用計画法、土地区画整理法、不動産登記法
  3. 第3段階(中程度):地価公示法、不動産の鑑定評価に関する法律、農地法
  4. 第4段階(余裕があれば):宅地造成等規制法、土壌汚染対策法、その他の法令

この順序で学習し、第2段階まで完了した時点で全体の60〜70%の得点が見込めます。

宅建との比較

宅建(宅地建物取引士)の資格を持っている方は、行政法規の学習で大きなアドバンテージがあります。

項目 宅建 鑑定士・行政法規
都市計画法 出題あり より深い内容
建築基準法 出題あり より深い内容
国土利用計画法 出題あり ほぼ同レベル
不動産登記法 出題あり やや深い
地価公示法 出題あり より深い

宅建の知識があれば、行政法規の学習時間を大幅に短縮できます。

暗記のポイント

行政法規全体を通じた暗記の最重要事項をまとめます。

  • 都市計画法の用途地域13種類:住居系8種、商業系2種、工業系3種の名称と特徴を完璧に暗記
  • 建築基準法の数値基準:建蔽率・容積率の基本数値、接道義務の4m・2m、日影規制の対象
  • 国土利用計画法の面積要件:市街化区域2,000㎡、都市計画区域5,000㎡、それ以外10,000㎡
  • 届出・許可の期限:各法令の届出期限を横断的に整理して暗記
  • 農地法の3条・4条・5条:それぞれの目的と許可権者の違い
  • 不動産登記法の基本構造:表示に関する登記と権利に関する登記の区別

まとめ

行政法規は範囲が広い科目ですが、メリハリのある学習で十分に対策できます。

  • 頻出法令に集中:都市計画法・建築基準法で全体の約30%を占める
  • 数字の体系的暗記:横断整理表を作成して効率的に覚える
  • 学習順序を守る:頻出法令から順に学習し、確実に得点源を増やす
  • 目標得点:6割(12問)以上を確保し、鑑定理論との合計で合格ラインを超える

独学での勉強法学習スケジュールも参考に、計画的に学習を進めましょう。